笑顔相続の便り ~相続診断士事務所JSプランニング~

笑顔相続の便り 2026年8月号
【義実家の床上浸水で考えたこと——家と家財、そして家族の思い出を守るために】
皆様、こんにちは。
相続診断士事務所JSプランニングの齋藤です。
まずは、このたびの千葉県内の豪雨により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く日常の生活を取り戻されることを、心より願っております。
今回の豪雨では、私の妻の実家も床上浸水の被害に遭いました。
私自身、被災した住宅の片付けや復旧に関わる中で、
「水害というのは、こんなにも大変なのか」
と身をもって感じました。
そして同時に、今回の経験から感じたことの中には、
私が日頃お伝えしている「笑顔相続」にも通じることがたくさんありました。
そこで今月は、少し趣向を変えて、義実家の床上浸水を経験して私自身が感じた、
「もしものときに家族が困らないために、今からできること」
についてお伝えしたいと思います。
■床上浸水は、水が引いたら終わりではありません
今回、改めて感じたのが、床上浸水後の片付けの大変さです。
「水が引いて、濡れたところを乾かせば大丈夫なのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際はそんなに簡単なものではありませんでした。
住宅内に入ってくる水は、きれいな水とは限りません。
泥や汚れなどが混ざった濁水が家の中へ入り込みます。
そして水が引いた後も、床やカーペット、家具などには大量の水分が残っています。
厚生労働省も、浸水した家屋では細菌やカビが繁殖しやすくなり、
感染症につながるおそれがあるとして、十分な清掃と乾燥の重要性を呼びかけています。
見た目では乾いているように見えても、床材の下などに水分が残っていることも考えられます。
そのため被害状況によっては、カーペットや床材などを撤去し、
汚泥や汚れを取り除いたうえで、内部までしっかり乾燥させる必要があります。
また、消毒を行う場合にも、まず十分に汚れを落としてから行うことが大切です。
今回、実際に義実家の片付けを経験して、
「床上浸水とは、単に床が水に濡れることではない」
ということを痛感しました。
■火災保険の「水災補償」、確認したことがありますか?
そして、住宅を本格的に復旧しようとすれば、当然ながら大きな費用がかかります。
床材やカーペットの撤去、乾燥、消毒、内装の修繕。
さらに家具や家電などの家財にも被害が及びます。
そこで非常に重要になってくるのが火災保険です。
「火災保険」という名前なので、
「火事のときの保険でしょう?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし火災保険には、契約内容によって台風や大雨、洪水などによる「水災」を補償するものがあります。
また、「建物」の補償だけでは、家具や家電などの「家財」が補償されない場合があります。
今回の経験から、私は改めて水災補償と家財の補償の重要性を強く感じました。
ただし、火災保険に加入していれば、どのような水害でも必ず補償されるということではありません。
契約している補償内容や支払条件によって異なります。
ですから皆様に、ぜひ一度やっていただきたいことがあります。
ご自宅の火災保険の契約内容を確認してみてください。
「水災は補償されているのか?」
「建物だけではなく、家財も補償されているのか?」
「どのような場合に保険金が支払われるのか?」
災害が起きてから初めて確認するのではなく、
何も起きていない今だからこそ確認しておくことが大切です。
もし、
「火災保険に入っていない」
「契約内容を見てもよく分からない」
「今の補償内容で大丈夫なのか確認したい」
という方がいらっしゃいましたら、当事務所へご相談ください。
必要に応じて、提携している保険代理店をご紹介させていただきます。
■高齢のご両親の場合、「誰が保険会社と連絡するのか」も大切です
今回もう一つ感じたのが、家族で協力できる環境をつくっておくことの大切さです。
復旧作業をしていると、近隣には千葉県外のナンバープレートの車もたくさん来ていました。
おそらく、被災した親御さんやご家族のもとへ、遠方から駆けつけた方もいらっしゃったのだと思います。
災害に遭ったとき、家族の協力は本当に心強いものです。
特に高齢のご両親だけで暮らしている場合は、考えておいていただきたいことがあります。
それは、
「もし親の家が被災したら、誰が保険会社との連絡をするのか?」
ということです。
災害直後は、ただでさえ大混乱です。
片付けもしなければならない。
今後どこで生活するのかも考えなければならない。
そのような状況の中で、保険会社への連絡や被害状況の確認、必要書類の準備などを、
高齢のご両親だけで行うのは大きな負担になる場合があります。
「親はどこの火災保険に入っているのか」
「保険証券はどこに保管しているのか」
「事故受付の連絡先はどこなのか」
そして、
「いざというとき、家族の誰が一緒に対応するのか」
これだけでも家族で話し合っておくと、いざというときの安心感は大きく違うと思います。
なお、家族が契約者本人に代わってどこまで手続きをできるかは、保険会社や契約内容などによって異なります。
こちらも平時のうちに保険会社へ確認しておくと、より安心です。
■水害で痛感した「日頃から物を整理しておくこと」
そして今回、もう一つ強く感じたことがあります。
それが日頃からの断捨離です。
床上浸水すると、濡れた家具や家財を大量に片付けなければなりません。
普段であれば何気なく置いてある物でも、水を吸えば重くなります。
それを一つひとつ運び出し、
「これは残せるのか」
「これは処分するのか」
と判断していかなければなりません。
家の中に物が多ければ多いほど、その作業量も増えていきます。
今回、義実家にあった多くの家具や荷物を片付けながら、
「元気なうちから少しずつ物を整理しておくことも、立派な“もしもの備え”なんだな」
と感じました。
■そして一番難しかったのが「写真」です
そんな片付けの中でも、特に難しいと感じたものがあります。
それが写真アルバムでした。
義実家には、子ども二人の成長の記録、そして孫三人の写真など、
長い年月の中で撮りためた大量の写真があります。
「断捨離すればいい」
言葉にするのは簡単です。
しかし写真は、そう簡単にはいきません。
一枚一枚に、そのときの家族の思い出があります。
子どもが生まれたとき。
七五三。
入学式や卒業式。
家族旅行。
孫が遊びに来たとき。
一枚の写真を手に取れば、その当時の出来事がよみがえります。
そうなると、
「これは残そう」
「これは捨てよう」
と一枚一枚選別すること自体が、とても難しいのです。
■「捨てる」のではなく、「残し方を変える」
そこで一つの方法としておすすめしたいのが、写真のデジタル化です。
最近では、昔の写真やアルバムをスキャンして、デジタルデータにしてくれるサービスもあります。
もちろん費用はかかります。
しかし、何冊、何十冊というアルバムをデータ化することで、保管する物量を大幅に減らすことができます。
そしてデータであれば、家族で共有することも容易になります。
子どもたちや孫たちがそれぞれ保存しておくこともできます。
もちろん、デジタルデータだから永久に消えないわけではありません。
保存媒体の故障やデータ消失などもありますので、
複数の場所にバックアップするなど適切な管理が必要です。
それでも、きちんと管理しながら残していけば、子ども、孫、
そしてその先の世代へと、家族の思い出を引き継ぎやすくなります。
大切なのは、
「捨てること」ではなく、「残し方を変えること」。
これも一つの断捨離なのではないでしょうか。
■これも「笑顔相続」だと思います
相続対策というと、
「相続税はいくらかかるの?」
「遺言書を書いた方がいいの?」
「実家をどうするの?」
といった財産の話を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、それらも非常に大切です。
しかし今回の災害を経験して、改めて思いました。
家族に何を残し、どのような形で次の世代へ引き継いでいくのか。
それを考えることも、相続の大切な一部分ではないでしょうか。
財産だけではありません。
家族の情報。
保険の情報。
困ったときに助け合える関係。
そして、家族で積み重ねてきた思い出。
これらを、元気なうちから少しずつ整理しておく。
エンディングノートも、亡くなった後のためだけに書くものではありません。
災害、病気、入院、認知症など、突然の「もしも」が起きたときにも、家族を助けてくれるものです。
今回、義実家が被災したことで、
「何か起きてから家族が初めて調べる」のではなく、「何も起きていないときに家族で話しておく」ことの大切さ
を改めて感じました。
今回の経験を、ただ「大変だった」で終わらせるのではなく、皆様のこれからの備えや
「笑顔相続」に少しでも役立てていただければと思い、今月のコラムを書かせていただきました。
この機会にぜひ、ご家族で一度、
「もし我が家が災害に遭ったら、どうする?」
そんな話をしてみてはいかがでしょうか。
それでは、また次回の「笑顔相続の便り」でお会いしましょう。
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